構造計算書偽造問題 リンク集
構造計算書偽造問題(こうぞうけいさんしょぎぞうもんだい)は、2005年11月17日に国土交通省が、千葉県にあった建築設計事務所のA元一級建築士が、地震などに対する安全性の計算を記した構造計算書を偽造していたことを公表したことに始まる一連の事件である。耐震偽装問題とも呼ばれる。
一連の耐震偽装事件は発覚当初は組織的な詐欺ともみられていたが、公判では「A元一級建築士による“個人犯罪”」だったことが明らかになっている。東京地裁はA元建築士に懲役5年、罰金180万円の実刑判決を言い渡し、川口政明裁判長は「自分が圧力を受けた犠牲者であるかのように演じ悪質」と断罪した。
一級建築士が行なった国土交通大臣認定構造計算ソフトウエアの計算結果を改竄した形での構造計算書の偽装を建物の建築確認・検査を実施した行政および民間の指定確認検査機関が見抜けず、承認した。地震国の日本において、建築基準法に定められた耐震基準を満たさない、マンションやホテルなどが建設されていたという事実は、人命や財産に関わるものであることから大きな社会問題となった。
マスコミは、震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあると報道しており、「殺人マンション」と揶揄した(阪神・淡路大震災では最大震度7の揺れが観測されている)。
これを受けて警視庁は、千葉県警、神奈川県警と合同捜査本部を設置して捜査に乗り出し、事件名を「耐震強度構造計算書偽装事件」と名付けた。
構造計算書を偽装した建築士やマンションの売り主である会社、建築主である会社、関連のコンサルタント会社、それぞれの関係者らが国会での証人喚問に呼ばれ、答弁した。また、インターネット上では「きっこの日記」というウェブサイトがマスコミに先行した詳しい情報を公表し、それに関係者や国会議員が関わるなどし、関係者の更なる証人喚問への賛否を問う国会議員へアンケートの実施を要望するメールを送られた有名番組がそれに答えたり[要出典]、マスコミが後を追うような形で、報道が展開した。また、それに端を発し、政治家や官僚と業者の癒着の疑惑なども関心を呼んだ。
民主党馬渕澄夫議員の秘書だった大西健介は、この事件できっこと情報のやり取りをした事を「政策空間」で紹介しており、「きっこの日記」を多数引用している[1]。ただし、「きっこの日記」に書かれた情報は、ほとんどが誤報であった事が後日判明している。
2006年3月には札幌市内のマンションで二級建築士による構造計算書の偽装が発覚、2007年1月には京都市のホテル2棟の構造計算書の偽造が判明し、このケースはA建築士の個人的な犯罪に留まるものでないことから、更なる波紋を呼んだ。
1998年(平成10年)3月15日 、橋本内閣は「建築確認・検査の民間開放」と「戸建住宅・プレハブ住宅等についての中間検査制度の特例」を設ける「建築基準法の一部を改正する法律案」を国会に提出。
従来は、地方公共団体の建築主事のみが建築確認、検査事務を行なってきたが、建築物の着工件数に比べ、建築主事など職員の絶対数が不足していたこともあって、事実上検査が行なわれなかったり、検査が行なわれた場合でも、ずさんだったり、おざなりな検査であったりしたケースが多発し、欠陥住宅災害が発生する原因となっているとする指摘があった。
日弁連などが建築士の協力を得て調査したところによれば、建築確認とまったく異なった建造物が建設された例や、手抜き工事の例が発見され、当時の建築基準法、あるいは住宅金融公庫標準仕様書、日本建築学会標準仕様書などが定める基準を満たさないものが非常に多いことが判明していた。このような背景から、同法案は「建築確認、検査事務」を民間の指定確認検査機関に門戸を開放するべきとしたものであった。
同年4月24日の衆議院本会議で新党平和・井上義久は質問に立ち、阪神大震災の被害について指摘しつつ、ゼネコンやハウスメーカーなどの株式会社(施工業者)が集まって指定確認検査機関を作ることもできる法案であることから公正中立な確認検査が本当に担保されないのでは、違反建築や欠陥住宅がふえるのではないかとの懸念を表明した。これに対し建設大臣・瓦力は、確認検査機関の指定に当たり、役職員の構成や業務内容の中立性を審査するほか、役職員に公務員と同様の罰則を適用する措置を講じ、その建築確認の報告義務を課し、不適法なものについてはその効力を失わせる等の措置を講じるなど万全を期すと答弁している。
同年4月28日、 建築基準法改正案が本会議で可決される(この第9次改正案の公布は6月12日)。「建築確認・検査の民間開放」により、それまで地方公共団体の建築主事のみが行なってきた建築確認、検査事務を、民間の指定確認検査機関(同法第77条の18 - 第77条の35)を創設することにより、株式会社を含む民間機関に開放された検査体制となった。
同年5月20日の衆議院建設委員会では、日弁連消費者問題対策委員会の弁護士が参考人として発言、日弁連の調査で欠陥住宅(違法建築住宅)問題がきわめて深刻な事態となっているため欠陥住宅110番を設置したこと、そこに寄せられた相談事例は多数に上ったことを紹介。建築士法18 条4項は法の趣旨として、工事監理者を務める建築士が施工業者と対峙関係にあることを前提として定められているにもかかわらず、実際には建築確認の工事監理者(建築士)届け出における名義貸しの横行のほか、施工業者の従業員となっている建築士が存在し、施工業者と経済的つながりを持つ建築士の存在があると証言して、建築士法18条4項が死文化していると指摘。その上で営利団体による公正な確認、検査に懸念を表明し、確認・検査業務は、行政機関が責任を持って実施すべきだと主張した。
これに対し千葉県柏市市長は建築確認・検査業務業務の実施状況を説明、残業時間が多いため業務が苛酷であると訴え、建築確認・検査業務は、単に一定の基準に適合しているか否かを技術的に判断する作業に過ぎないため資格を持った者であれば、民間の技術者でも可能で、業務を民間に任せることで業務窓口は広がり、また市民サービス向上にもつながり、さらに違反建築物の是正指導力を集中することができるなど、民間開放の利点を挙げた。日本建築士会連合会・制度委員長の藤本昌也は参考人発言で、確認検査機関の利用者の立場として、建築主事主導の機関と民間機関のいずれを選択するか、建築士にとって選択肢が広がる利点を挙げた。公正で適正な業務かどうかの疑問については「杞憂である」とした。
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